[Grim Dark Corners]No.002 脳ミソ大将

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41千年紀の失われし伝承にスポットライトを当てるGrim Dark Cornersから、今回はオルクの起源についてご紹介。


Posted 09/10/2018

Grim Dark Corners: 脳ミソ大将

オルク! 奴らはデカく、ミドリ色で、ウォーハンマー40,000に登場する諸陣営の中でもひときわ由緒ある(そして愛されている!)種族の1つと言えるだろう。だが彼らオルクの厳密な起源とは一体いかなるものだろうか?

オルクという種族は驚くほどの奥行きと謎を有しており、その起源から、果ては彼らがなぜ緑色をしているのかに至るまで様々な理論が打ち立てられている。だがその一方で判明していることはほんのごく僅かに過ぎない。このGrim Dark Cornersではウォーハンマー世界の秘密や外典、ほんの一瞬だけ登場した設定などを深く掘り進めている。前回アエルダリの神々を特集した我々だが、今回はグリーンスキンの起源と、「脳ミソ大将」(ブレインボゥイ)と呼ばれる存在の正体に迫っていくこととしよう。

ウォーハンマー40,000の初版である『ローグトレーダー』以来、オルクは常に我々と共にあった。かの神聖なる大著における、この謎めいた異種族についての記述は以下の通りだ:

“言い伝えによれば、人類とオルクが初めて相見えたとき、彼らは互いにジロジロと視線を交わし、どちらも相手の姿に嫌悪感を抱くと、それから現在まで続く長い星間紛争の幕が切って落とされたのだという。オルクと奴らの下僕たちは人類の原理的な(原文ママ)敵である。オルクの宇宙艦艇は〈帝国〉に対して襲撃と略奪を繰り返し、オルクの軍勢は人類の星々に死と荒廃をもたらしているのだ。同様に、人類の征戦軍もまた星々や宇宙の深奥にてオルクに対する抵抗を続けている。人類とオルクの間には恒常的な戦争状態が続いており、その勢いが衰える兆しは一切見られない。”

我らが慣れ親しんだオルクそのままだ! 『ローグトレーダー』におけるオルクへの言及はかなり簡潔なものであり、彼らの起源や哲学、文化といったものについての記述はごく僅かである。こうしたオルクの設定は、その後の年月とともに大きく肉付けされていくこととなる。

ではオルクは一体どこから現れたのだろうか? オルクの語る伝説によれば、そこには「脳ミソ大将」という失われた階層が深く関わっているらしい……。

オルクの伝説はちび飼い(ラントハード)によって語り継がれる。ラントハードはグレッチェンの世話を生業としているオルクの社会階層である。わざわざ他の生き物の世話などするあたり、ラントハードはオルクの中でも類稀なる忍耐力を持っているか、あるいは単に格下野郎をいじめるのが好きだったり、手近なところに「おやつ」を置いておきたいタイプなのだろう。

ラントハードの語るところによれば、オルクとは本来の姿を失った種族であり、高水準の技術力を有していた「脳ミソ大将」なる種族を護るために生み出されたのだという。

物好きなオルクの中には脳ミソ大将の身に何が起こったのかについて様々な仮説を打ち立てているものもいる。こうした仮説には「何らかの疫病によって彼らは全滅した」「大規模な遺伝的退化によって彼らは原始的な種族へと遷移し、M41の今もまだ生き延び続けているかもしれない」などがある。

とはいえその全貌が明らかになることはあるまい。何しろオルクたちにとって過去の真実など基本的にどうでもいいことなのだから。

「ロストしたレース……? 俺様が聞いたのは、ヘフの野郎が砂漠横断ラリーの最後の直線でトライクをクラッシュさせちまったってことぐらいだな。キバを何本か払って手に入れた、取っておきの情報だぜ」

– オルクが暴力以外のいかなる歴史、文化にも興味を有していないことの一例

ネクロンという陣営の登場は、ウォーハンマー40,000の歴史を考える上で、〈帝国〉成立以前に行われた戦いに新たな光を当てることとなった。ネクロンの背景にはありとあらゆる種類の興味深い設定がひっそりと添えられており、クロルクへの最初の言及もその1つと言えるだろう。現行版の『コデックス:ネクロン』においても、明らかにオルクの前身と考えられるこの種族についての記述が存在する。

物語の中で、クロルクは〈古き者〉により、ネクロンティールに対する古代戦争の戦力として創り出された。もっとも〈古き者〉について分かっていることはほとんど無い。せいぜいが〈網辻〉の生みの親であること、深いサイキック的感覚を有していたこと、そしてアエルダリの創造にも関わっていると噂されていることぐらいである。

どうやらクロルクは、ネクロンティールとク=タンの連合軍相手に劣勢を強いられていた〈古き者〉が、この戦争の趨勢を変えるべく奥の手として生み出した種族であるようだ。

この戦いこそが〈古き者〉の子らの以降数百万年に渡る性質を根本的に形作ったであろうことは間違いない。実際、この〈天界の戦争〉(ネクロンティールと〈古き者〉との間で交わされた戦い)こそが、オルクが死への恐怖心を有していないことの理由を説明付けるものとなっているのである。

“夜をもたらすもの”として知られるク=タンが銀河で暴れまわった際、その憤怒のあまりの激しさゆえに、アエルダリから初期人類に至るまでありとあらゆる知的種族の集合意識に、死と「命の刈り手」への恐怖が深く刻み込まれることとなった。この宿命を唯一免れた種族こそがクロルクであり、その子孫たちは現在に至るまで死への恐怖を有していないのである! とはいえオルクも「逃げる」という概念は知っているようだ。下の格言の通りにね:

「オルクが負けるこたあねえ。俺たちが勝ちゃあ勝ちだろ。死んだら死ぬまで戦えたんだからチャラだ。逃げなきゃならねえ時があっても、それも負けじゃあねえ。また戻ってきてブチのめせばいいんだからな」

– グリーンスキンの有する根源的哲学を巧みに言い表した言葉

ここ数年、オルクの文化(あるいは流儀と言うべきか)を深く掘り下げたブラックライブラリーのシリーズ『The Beast Arises』の登場により、オルクの設定は大きく膨らむこととなった。もし君がオルクの諸氏族の起源や、初期の〈帝国〉についてさらなる知見を深めたいと思っているならば、まずは『The Beast Arises』の1巻がオススメだ。

ワードゴブリンを自称するGuy Haleyはオルク目線の新作オーディオドラマ執筆で大忙しのようだ。これはブラックライブラリーのwebサイトからダウンロードできる。

もちろん、間もなく登場する『コデックス:オルク』も君の目を釘付けにすること間違いなしだ! これから数週間は目が離せないぞ。なにしろ我々は大量のプレビューを用意しているし、肝心のコデックスにも君のキバをあらかた巻き上げるほどの新しい物語が満載だからね。


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