[Grim Dark Corners]No.001 アエルダリの万神殿

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41千年紀の失われし伝承にスポットライトを当てるGrim Dark Cornersから、今回はアエルダリの神々についてご紹介。


Posted 30/09/2018

Grim Dark Corners:アエルダリの万神殿

ウォーハンマー40,000の世界は広大だ。実際、30年に渡って刊行されてきたコデックス、物語、設定の分量は信じられないほどに多い。このシリーズではこうした広大な設定の中からいくつかを覗き込み、暗黒の遠未来の照らされざる片隅や、いまだ明かされざる謎について掘り下げていく。

『Wake the Dead』の予約が始まった今週は、アエルダリ種族の悲劇的な過去と、彼らと神々の間に結ばれている複雑な関係について振り返ることにしよう。

昔々、アエルダリは統一されし一つの種族であり、彼らは数多くの神々や神話的存在、儀式的な諸相、そしてその他ありとあらゆる神聖な事物を信仰していた。彼らの信仰対象は、賢明なる〈不死鳥の王〉アシュリアンや狩猟神クルノス、鍛冶神ヴァールやその他の数多いる神々にまで及んでいた。こうした神々の存在は、今に至るまで様々なアエルダリ文化を形作っており、方舟の民が従う〈道〉もまた彼らの神聖なる祖先が歩んできた神話的な旅路の影響を受けているのだ。

しかし41千年紀にあってこれらの神々は既に亡く、そしてアエルダリという種族もまた分裂し、滅びつつある。

ならば彼らはいかなる経緯により現在の境遇に至ったのだろうか?

敗退と堕落……

幾千年紀もの昔、まだ人類が泥の中を這いずり回りながら食料やキラキラした石を巡って互いに殺し合っていた頃、アエルダリは銀河の絶対的な支配種族であった。彼らは物質宇宙の大部分を支配すると共に、〈網辻〉として知られる謎に満ちた異次元空間をも手中に収めていた。

古き仇敵ネクロンに勝利して以降、アエルダリは自らが最も得意とする行い、すなわち自らの欲求に耽溺することを選んだ。神々への信仰心は衰え、アエルダリの大多数は自らを愉しませるための新しい方法を模索することに日々を費やすようになっていったのだ。快楽追求が激しさを増すにつれ、ありとあらゆる類の奇妙な教団が生じ、ありとあらゆる放埒が常態化していった。しかしごく少数のアエルダリたちは、より伝統的な生活をおくるために古代アエルダリ文明を出奔していった。アシュルヤーニと呼ばれた者たちは方舟として知られる巨大な都市艦の乗り込んで宇宙へと漕ぎ出し、一方エクソダイトと呼ばれた者たちはより簡素で自然に根ざした生活を求めて〈乙女の惑星〉として知られる楽園惑星の数々へと入植していった。現在我々が「アエルダリ」と呼ぶ者たちは、実際にはかつて存在したアエルダリ種族のうちの例外的な一部の派閥を指しているのだ。

アエルダリの大部分は鋭いサイキック的感覚を有しており、それゆえ彼らの行いは、生命の感情エネルギーが反映される〈歪み〉空間に影響を及ぼす。古代アエルダリ文明は大敗を極めており、その堕落した集合意識はスラーネッシュ、すなわち〈悦楽の主〉たる渾沌神の誕生を招いた。そしてその過程でアエルダリの大多数が滅び去ることとなったのだ。

スラーネッシュは幾兆ものアエルダリの魂を貪ってもなお満足せず、次に彼らの神々へと襲いかかると、星々を震えさせるほどの壮大なる戦いの末に一柱、また人柱と喰らっていった。スラーネッシュの誕生はあまりにも暴力的で激しいものであったため、現実空間には裂け目が生じた。アエルダリ文明の中心部はこの裂け目に飲み込まれて滅び、現在この宙域は〈恐怖の眼〉として知られている。

そう、アエルダリの神々はすべて死に絶えたのだ。

えっと、「ほとんどすべて」かな。

血塗られし手

アエルダリの戦神であるカエラ・メンシャ・カインは、古代アエルダリ文明にあってはあまりお近づきになりたいタイプのナイスガイではなかった。カインは他の神々に戦いを挑んだり、彼の敵を殺戮したりと、常に迷惑ばかりかける行いで悪名高かったからね。スラーネッシュの誕生という大問題に対し、カインはこれまで彼があらゆる問題に用いてきたアプローチを試みる。すなわち正面からスラーネッシュに挑み、天をも揺るがすほどの戦いを繰り広げたのだ。

アエルダリにとっては不幸なことに、カイン神の憤怒を持ってしても、無数のアエルダリの魂を喰らって力を得たこの新たなる渾沌神を倒すには不十分であった。カインは打ち砕かれ、その力は無数の破片として散り散りになってしまった。現在、方舟の民が神聖なる助けを必要とした場合、彼らの中で最高の英雄(多くの場合は〈相の神社〉の一つに属するエクサーチ)を生贄に捧げることで、炎に包まれし戦神の化身に僅かな間ではあるが命を吹き込むことができる。

笑う神

カインがスラーネッシュに戦いを挑んでいたちょうどその時、〈笑う神〉と呼ばれるセゴラックは迷宮の如き異次元〈網辻〉へと逃げ延びていた。それゆえセゴラックは〈かの渇きたる女〉による殺戮を真の意味で生き延びた唯一の神となった。セゴラックは、ハーレクィンとして知られる謎めいた舞踏戦士によって信仰されているが、しかしこの謎に満ちた神について分かっていることはほとんど皆無に等しい。噂によると、セゴラックは名もなきハーレクィンの姿で自らの信奉者に紛れているのだとか……。

もし君がセゴラックについてもっと詳しいことを知りたいなら……幸運を祈る! 30年に渡る設定の蓄積をかき分けてもなお、この謎に満ちた神に対してはほんの僅かな光しか当たっていないんだ。でもAndy Chamberの『Masque of Vyle』やGav Thorpeのオーディオドラマ『A Deadly Wit』、そしてもちろん『コデックス・ハーレクイン』などをじっくりと参照することで、もどかしくも興味深いヒントの数々を見つけることが出来るはずだ。

庭園にて生き延びし神?

セゴラックとカインはアエルダリの〈失墜〉を(形は違えど)生き延びた唯一の神々であるが、しかしそれとは別に、イスハが今なお生き続けているという伝説も数多く伝わっている。こうした物語によれば、〈失墜〉のさなか、腐敗と疫病、崩壊の神であるナーグルが、豊穣と癒やしを司るアエルダリの女神イスハを連れ去り、自らの領域の中心部にて今なお幽閉しているのだという。そしてナーグルは新たに生み出した疫病をイスハで試し、この女神の回復力を利用して疫病の効果を測っていると言われている。

イスハについて(そして彼女を救出しようと試みた方舟ルーガナスの戦士たちが辿りし破滅的な結末)については『コデックス:ケイオスディーモン』にて読むことができる。

死の救世主

一万年の昔に神々を失ったアエルダリ種族。彼らの中の冒険的(人によっては「異端的」と呼ぶかも知れない)な一団は、この時代こそ新たなる神格を呼び起こす好機と考えている。結局のところ、魂によって生み出されし神を滅ぼそうと思うならば、他の神を生み出す以上の解決策があるだろうか?

インニァードはアエルダリの死の神であり、方舟ビエル=タンの無限回路(方舟の民の魂がスラーネッシュに貪らぬよう溜められている人工的な死後の世界)の残骸から化身たるインカーネの形で初めて顕現した。化身たるインカーネの形をとることにより、インニァードは不気味な能力の数々を用いて死のエネルギーを収穫することができる。

インニァード信仰に対するアエルダリの態度は少々複雑だ。この新しく、そして(逆説的にではあるが)希望に満ちた死の教団に加わりたいと思っているアシュルヤーニやデュカーリ、ハーレクィンにとってさえ、憎悪と死から作られ、嘆き叫ぶこの化身に仕えることには(当然ながら)強い抵抗感が存在するのである。中にはアエルダリの顕現(これにはアエルダリ種族全体の死が必要となるかも知れない)によってスラーネッシュを打倒することができるかも知れないという希望に固執するものもいる。しかし多くの者達は、アエルダリ種族全体の魂をそのような賭けのために用いることにはさほど熱心ではない。さらにインカーネが「もう1つのスラーネッシュ」でないという保証もないのだ。結局のところ、この両者はともに死せるアエルダリの魂をその糧としているのだから……。

もし君がインニァードとその神秘的な信奉者たちに興味があるなら、Gav Thorpeの『Ghost Warrior』をチェックしてみよう。これはアエルダリの中でも最も不気味なこの一団に焦点を当てたシリーズの第一弾だ。

銀河が戦火に包まれ、アエルダリがこれまで以上の痛手を追った41千年紀、来るべき戦いにてこれらの神々がいかなる役割を演ずるのか。それは未だ明らかではない。もしかするとこれからの『暗黒の片隅で』にて彼らを再び取り上げることがあるかも知れないね。とりあえず今のところは、Warhammer 40,000のフェイズブックページにて君の意見を聞かせてくれ。あと41千年紀の失われし伝承で何が一番お気入りなのかについてもね!


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コメント

  1. 匿名 より:

    毎回翻訳ありがとうございます。もしよろしければ暗黒の千年紀の翻訳も進めて頂ければ幸いです。
    最近では40Kのプレイヤーや-知名度も少しづつ広まっておりますので。

    • Waaaghmonger より:

      お読みいただきありがとうございます。
      レジメンタル・スタンダード等の連載記事がいろいろ溜まっているというのと、最近は設定関係の翻訳や解説をnote等に上げている方もいらっしゃるのでLexicanum系はそういう方々にお任せしようかと思っておりましたが、折角リクエストを頂いたので暗黒の千年紀のほうもマイペースながら再開していこうかと思います。