[Regimental-Standard] #93 キャンドルマスの奇跡

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〈帝国〉視点で40k世界を解説しているRegimental-Standardから、今回は心温まる奇跡の物語をご紹介。


The Candlemass Day Miracle

キャンドルマスの奇跡

傾注せよ、兵士諸君!

帝国最高司令部は、今年のキャンドルマス・シーズンに諸君の星域の士気が危険な水準まで低下していることを憂慮している。これは諸君の連隊付政治将校全員が謎めいた事故死を遂げたことに由来するのやもしれない。我が軍の技術専門家たちは諸君の連隊に支給されているラスガンに数多く報告された「突然の不随意的暴発現象」を究明・修理すべく努力を続けているが、その一方で現状の士気低下にも対応するため、我々はこのたび帝国宗務局の高名なる説教師であるルドルス・クリスピン猊下をお招きし、諸君ら全員にこの祭日にまつわる特別な物語を語っていただいた。


ルドルス・クリスピン猊下:

ごきげんよう、兵士諸君。

さあそばに集まり、この心温まる物語を聞いていきなされ。

これはキャンドルマスの前夜、すべてが静まり返った惑星ヴォルティスⅣでのことじゃった。かつては温暖であったこの惑星も、絶え間なく降り注ぐ砲弾によって気候が変動し、今では常ならぬ冬に包まれていた。野蛮なるオルク撃滅の命を受けて派遣されたノルディカ第1225連隊は、氷と泥濘に覆われた泥濘を前に希望を見失いかけておった。さらにオルクの側でもいまいち「殺る気」が出なかったんじゃろうなあ、両者は共に塹壕に篭り、散発的な遭遇戦さえ起きない有様じゃった。

すべての希望が潰えたかと思えた、まさにそのとき……

塹壕の中で誰かが歌っておった。ほんの微かながら、帝国防衛軍の兵士たちは、オルクの鈍った言葉遣いの歌を聞いたのじゃ。

「行くぜ野郎ども、行くぜ野郎ども、行くぜ野郎ども」……とな。

すると帝国防衛軍の兵士たちも負けじと「皇帝陛下の憤怒こそ我が剣(つるぎ)」を大声で合唱した。

互いの歌声が続く中、1人の新兵が塹壕から身を乗り出し、ライフルを置いたまま相手の陣地へと歩き出したのじゃ。反対側からも、1体のボゥイが同様にして近寄ってくる。静けさがあたりを包み込む中、2人の戦死は互いに近づいていった。オルクが自らの手を差し出すと、新兵はそれを握った。

「メリー・キャンドルマス」新兵はそう言い、微笑んだそうな。そして彼はブーツに隠し持っていたコンバットナイフを抜き取り、このオルクの急所を3箇所正確に刺し貫いてこれを屠った。その時の盛り上がりようと言ったら!

すっかりしょげかえっていたノルディカ第1225連隊もこれに触発され、銃剣を付けて突撃を敢行し、この奇襲によってオルクどもの意表を突くと、このグリーンスキンどもを一番小さいグレッチェンに至るまで完膚なきまでに屠ったそうな。そしてスクイッグや敵兵の頭をボールにして「フット・ザ・ボール」の試合を大いに楽しんだという*。これぞまさに聖ニコロの祝祭の奇跡に違いあるまい!

そして現代では、兵士諸君の士気が下がったときには教訓としてノルディカ第1225連隊の話をするようになった。どういう教訓かじゃって? それは、突然勇気が降って湧いたとしても、熱意の欠如という大罪を埋め合わせるものとはならないということじゃよ。ノルディカ第1225連隊の士官たちは軍法会議に掛けられ、ヴォルティスⅣ戦役の終結後に処刑されたそうな。


以上だ、兵士諸君! 信仰というのはときに思いもよらぬきっかけで湧き出てくるものだ。今年のキャンドルマスは、皇帝陛下への敬愛を最も優れた形で表そう。すなわち異種族浄化である。

本日の思索:皇帝陛下は我らに不寛容という才能をお与えになった。

* これにより彼らは後に処罰された。うち1人の兵士はスクイッグの噛み付きにより片足を失っていたという。


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